姫路市医師会『医師会の匠』の会 第159回姫路臨床懇話会で講演させていただきました。
演題名 |
元救急医の挑戦 ~患者も医師も満足できる在宅医療を目指して~ |
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演 者 |
京見の森クリニック 中村 雅彦 |
在宅医療の分野において患者側、医師側双方の満足度を高めるために大切なことは患者の心理面と身体面の両面のニーズを的確に捉えることである。心理的な面は患者側の、身体面は医師側の満足度を高める。両方がうまくかみ合った時には双方ともに非常に高い満足感が得られるのだ。
一般的に在宅医療は主に開業医が行うものだが、医療の内容は病棟業務に酷似しており、家々を回る事は病棟回診に似る。在宅医療というと看取りをイメージすることが多いであろうが、実践してみると感染症・臓器不全の急性増悪や急性期病院からの退院直後で安定していないケースなども多数見られることから検査、処置、輸液、抗生剤点滴などの処置も予想以上に多く、病棟業務の経験が非常に役立つ。また病院へ紹介すべきかどうかの判断やタイミングの見極めが大変重要であり、夜間や休日は救急で紹介しないで済むように点滴や酸素投与による急性期のような治療を行ってみると、数日で改善することも多々見られる。さらには慢性的な患者でも治療を継続していると胃瘻栄養から経口摂取へと改善するケースや、長年在宅酸素療法を施行されていても酸素フリーにできるケースも経験する。
看取りだけでなく、攻めの在宅医療というものも大変重要なのである。